Content is King
まだ検索エンジンすら存在しなかった1996年に、Microsoftのビルゲイツ氏は「Content is King」というエッセイを掲載している。彼は現代のオンラインマーケティングそのものの到来をすでに予想していたのである。そのエッセイの中で述べられているのは、「インターネットの主役はコンテンツそのものである」という真理である。すなわち、質の高いコンテンツをどれだけ含んでいるかということがWebサイトの価値となるということである。
そして現在、誰もが日々利用するGoogleは、以下の3つの基準でそのコンテンツの質を判断している。
- そのコンテンツはユーザーの役に立っているか
- ユーザーは何度もそのWebサイトを繰り返し訪れたいと思うか
- ユーザーはそのWebサイトを他のユーザーに知らせたいと思うか
これらの基準に共通しているのは、いずれもWebサイトを訪問するユーザーの視点に立っているという点である。質の高いコンテンツを作るには、まずユーザーに認められるコンテンツでなければならないということである。
さらに、ユーザーに認めてもらえると、各種SNSの「いいね」や「シェア」、「ツイート」などによって、良質なコンテンツは「拡散」されるようになり、あらゆるユーザーから「応援」される時代になった。
良質なコンテンツというのは、
- そのWebサイトを検索画面において上位表示させる
- 様々なSNSによって口コミで広がる
- 顧客からの問い合わせを増やす
- Web上において強力な競合優位をつくりだす
といった成果を生むのである。
このように質の高いコンテンツ、つまりユーザー視点のコンテンツ作成の実践こそが、コンテンツマーケティングでの成功の秘訣である。
ではいったいユーザー視点のコンテンツとは具体的になにか。またいかにしてそれを実践することができるのか。
ユーザー視点のコンテンツとは
コンテンツマーケティングを「広告」として考えていると、継続性を保つことはできない。大切なことは、広告代理店のように、キャッチーなスローガンで注目を集めることではなく、どのようにユーザーの注目を維持し続けるかである。インターネットで価値のある情報というのは、
「ユーザーが止まって、コンテンツを読んだり見たりして、自分の頭で考え、行動を変える」
ということを指す。
では、「ユーザーが止まって、コンテンツを読んだり見たりして、自分の頭で考え、行動を変える」ことのできる価値のある情報とはいったい何か。
それは、ユーザーがどのようなときに、検索エンジンを使い、キーワードを打ち込み、サイトを開くのかということを考える必要がある。それは以下の図を理解する必要がある。
良質なコンテンツとは、ユーザーの知りたい情報を徹底的に伝え、かつ、そのコンテンツをみるだけで、ユーザーの潜在的な願望や悩みが解決するぐらい実用的なページであることが必要である。そこに、ユーザーのニーズは存在するのである。
コンテンツをつくる人は、企業の文化やサービスに関して、溢れるばかりの情熱を持っていなければならない。いくらWeb上であっても感情や情熱はフェイクすることはできないのである。単なる仕事として作業に取り組むのか、人や社会の未来をより良いものにするという強い意志を取り組むのかで、最終的な見返りは遥かに違ったものとなる。
では、質の高いコンテンツはどのように作成していけばいいのか。意識するべきなのは以下の3点である。
- サービスのターゲットを理解する
- 誤読を防ぐために最低限の文法は守る
- わかりやすい文章にするための工夫
最初の「サービスのターゲットを理解する」というのはまさに、ユーザー視点のコンテンツを作成するのに必要不可欠である。②、③はより、ユーザーに読みやすいようにするために必要な事である。
では、具体的に以上の3点について述べていく。
サービスのターゲットを理解する
「役に立った」と感じてもらえるのは、ユーザーが抱えている問題を解決したときであると述べてきたが、万人が同じ問題を抱えていることはほぼあり得ない。自社サービスに対して、潜在ニーズを持っているであろうターゲットユーザーが抱えている問題は何か、何を知りたがっているのかをしっかり把握し、それに応えるコンテンツを作成することが大前提である。
ターゲットユーザーをより明確にするために、「ペルソナ」と呼ばれる架空のターゲットユーザーを構築することで、より、ターゲットの理解を深めることが出来る。ターゲットユーザーはどのようなニーズを抱えているのか、どのような情報を知りたがっているのかを把握する。その方法として、主に
- 市場調査データ
- アンケート
- ユーザーインタビュー
が挙げられる。
Webと現実の双方からユーザーの声を集め、そこから考えられる潜在ニーズを掘り下げていくことが大切である。
誤読を防ぐため、最低限の文法は守る
ユーザーに「役に立った」と感じてもらえる前に、読み進めてもらえる文章になっているか、言い換えれば気持ちいい文章になっているかを心がけなければならない。その際にマイナスの要因となるのが「文法に従っていない文章」である。ユーザーのニーズに応える内容であったとしても、文法的な間違いがあると内容が伝わりづらくなり、伝えたいことが伝わらない。文法の間違いにより、記事内容を誤解されてしまう可能性もあるため、以下のような最低限の文法を守ることは「良いコンテンツ」には必須である。
- 文章はねじれていないか(主語、述語がちぐはぐになっていないか)
- 助詞(てにをは)は適切に扱えているか
- 修飾語の位置は適切か
- 句読点の位置は適切か
- 誤字脱字、表記ゆれ(半角・全角など)はないか
これらの文法の間違いは、大半が「音読」することで解消不能である。声に出して読むことで文章の間違いに気づきやすい。
わかりやすい文章にするための工夫
文法を守ってマイナス要因を除去したら、今度はより伝わりやすい内容にするためのプラス要因を付与していく必要がある。文章の構成を変えるだけで、驚くほど読みやすいコンテンツになる。
- h1、h2などの見出しを利用する
- 1つの文を長くしすぎない
- スマホの表示を意識する
特にスマホの表示を意識することは重要である。実際、あらゆる調査機関によってユーザーの利用デバイスがPCからスマホに移行していることが明らかになっている。2014年時点ですでに、スマホの接触時間はPCを上回っている。また2015年5月には、スマホのGoogle検索回数がPCを上回ったというデータをGoogleが公式に発表している。
「ユーザーはスマホを見る」ということを念頭に起き、PCだけではなくスマホ上での見やすさを気にする必要がある。スマホ画面はPCに比べてかるかに小さいため、一つ一つの情報をコンパクトにまとめる必要がある。特に、
- 1つの記事のボリュームは短めにする
- 段落をこまめにわける
ということを意識する必要がある。
コンテンツマーケティングは長期戦
多くの研究者がコンテンツマーケティングで効果を出すためには最低半年から一年ほどかかると調査しており、長期的にマーケティング戦略を考える必要がある。おそらく、コンテンツマーケティングのデメリットは、すぐに成果が見えないことである。しかし、顧客はコンテンツの充実さに安心感を得るのである。
あきらめずに続けた一つ一つの積み重ねが、将来の集客力につながってくるので、顧客の傾向をしっかりと観察しながらユーザーのニーズに合った最高のコンテンツを充実させることが必要になってくる。
参考文献
・夏目力 『コンテンツマーケティングとは中高生が考えるセックスのようなものだ』 閲覧日2020年4月19日 http://lrandcom.com/content_marketing_is_like_teen_sex
・『コンテンツマーケティングの時代に本当に必要なライティング方法を徹底解説』閲覧日2020年4月19日 http://ferret-plus.com/2688
・隠岐由起子『コピーライターに学ぶ、読み手を「動かす」コンテンツ作りの7つの手法』
閲覧日2020年4月19日 http://contentmarketinglab.jp/trend-in-usa/copywriting-strategies.html
吉田久則氏 『コンテンツイズキング株式会社』 閲覧日2020年4月19日https://contentisking.co.jp