メディアといえばテレビや雑誌などを思い浮かべる人が多いのですが、近年においてはメディアの種類が多様化しているようです。特にインターネットの進化により、従来のマスメディアとは異なるブログやSNSなどのメディアが注目を集めています。これに伴って企業におけるメディア戦略も大きく変化しつつあります。今回は従来型のメディアであるペイドメディアや、新しいメディアであるアーンドメディアやオウンドメディアについて、その役割や意味などを詳しく確認してみたいと思います。
ペイドメディアとは企業に対して有料の広告出稿サービスを提供する、従来型のメディアのことです。4マス広告と呼ばれるテレビ・ラジオ・新聞・雑誌などのメディアや、近年ではインターネット上のweb広告などがこれに該当します。大規模なイベントにおけるスポンサー制度なども、広義におけるペイドメディアの一種だといえるでしょう。ペイドメディアの大きな特徴は、不特定多数の存在に対して積極的にアピールができることです。例えばテレビを見ている人に対してコマーシャルを提供する場合には、テレビ局が提供する番組に興味を持つ顧客がコマーシャルを視聴することになります。そのためコマーシャルを提供する企業を知らない顧客や、商品やサービスに興味がない顧客に対しても積極的に働きかけることができるのです。これらの顧客の中には商品やサービスを知ることで、将来の顧客となる可能性のある見込み顧客や潜在顧客が含まれています。ペイドメディアはこれら見込み顧客や潜在顧客に対して、高い効果が期待できるメディアだといえるでしょう。ペイドメディアは企業に対して広告の「枠」を提供し、企業はこれを購入して利用することで消費者に対する情報発信を行います。ペイドメディアでは多くの費用をかければかけるほど、より多くの見込み顧客や潜在顧客に働きかけることができるのです。また近年においてはインターネットの普及により、web広告の需要が高まっています。web広告とはインターネットサイトなどに表示されるバナー広告等のことであり、ターゲットを絞った宣伝活動が可能であることや低コストで活用できることなどが注目を集めているようです。また紙媒体（新聞・雑誌など）の発行部数が低下していることも、web広告増加の間接的な原因となっています。
以前はメディアといえばテレビ・ラジオ・新聞・雑誌などのペイドメディアに限られていたのですが、21世紀以降はインターネットの発達により誰でも手軽に情報を発信できるようになりました。SNSやブログなどの一般人がインターネットを活用して情報を発信する新しいメディアは、アーンドメディアと呼ばれています。アーンドメディアの特徴はペイドメディアとは異なり、広告宣伝による利益の獲得を目的としていないことです。ペイドメディアが広告枠の販売という営利目的で情報を発信しているのに対して、アーンドメディアは営利目的ではなく一般人が個人の興味に基づいて情報を発信しているという違いがあります。そのため一般利用者による共感を得やすく、実際にインターネット上の「口コミ情報」は高く評価されているのです。アーンドメディアは企業にとって情報の発信よりも、情報の収集に役立つことが多くなっています。アーンドメディアをチェックすることで自社商品の利用者の声を直接聞くことや、今後の商品開発にフィードバックすることができます。アーンドメディアに参加することで自社商品やサービスに興味を持つ人と直接対話することができますし、またコミュニティーの活性化を支援することができるのです。一方でアーンドメディアは企業とは直接の関連を持たない第三者が運営するメディアであるため、自社に都合の良い情報を選別して発信してもらうことは難しくなります。自社で情報をコントロールできないことが、アーンドメディアの問題点となっています。
アーンドメディアの考え方をさらに推し進めて、自社においてSNSやブログを運営し情報発信を行うのがオウンドメディアです。従来は企業が自社製品やサービスの情報を発信する際にはペイドメディアを活用することが一般的だったのですが、21世紀以降はアーンドメディアの影響力が大きくなり、無視できない規模へと成長しました。これを企業の宣伝活動に積極的に役立てようとするのがオウンドメディアであり、企業自らが情報を発信できることが特徴となっています。オウンドメディアのメリットは、自社の製品やサービスに興味を持つユーザーにピンポイントで直接アピールできることです。オウンドメディアに接触するのは製品やサービスに興味を持つ能動的なユーザーが中心となるため、将来の見込み顧客や潜在顧客となる可能性が高くなります。ペイドメディアを活用するよりも低コストでさらに効率的な広告活動が可能になることが、オウンドメディアの独自の強みなのです。さらにオウンドメディアには自社を好きになって応援してくれる、自社のファンを育成する効果が期待できます。そのためにはユーザーにとって有益な情報や面白いコンテンツなどを、継続的に提供することが必要になります。ただ自社にとって都合の良い情報を発信するだけでは、ユーザーからの支持を得ることはできません。ユーザーの目線でユーザーのために情報を発信することが、オウンドメディアの成功につながるのです。
ペイドメディア・アーンドメディア・オウンドメディアには、それぞれにメリットとデメリットがあります。ペイドメディアのメリットは不特定多数にアピールできることですが、一方で宣伝であることが明確であるため興味を持たない人に対しては逆効果になってしまうことがあるようです。アーンドメディアのメリットは情報の信頼性の高さですが、一方で営利を目的としないメディアであるため情報のコントロールが難しくなります。オウンドメディアには将来の見込み顧客や潜在顧客にピンポイントで働きかけるメリットがありますが、一方で広告活動の成果の保証がないことやメディアを育てるために時間がかかるといったデメリットがあります。より効果的な広告宣伝活動を行うためには、それぞれのメディアを上手に連携させることが重要だといえるでしょう。まずはペイドメディアを活用して様々なユーザーに情報を発信すると同時に、商品やサービスに興味を持つユーザーをアーンドメディアやオウンドメディアとの連携によりしっかりと囲い込むことが、企業にとって効果的なメディア戦略になります。この時にオウンドメディアは、各種メディアを連携させる中心（ハブ）としての役割を果たすのです。充実したコンテンツを掲載する自社サイトや自社SNSは、Googleなど検索エンジンにおいても上位に表示されます。情報を積極的に収集するユーザーはオウンドメディアを通じて、さらにアーンドメディアやペイドメディアに接触するという情報の好循環が生まれることになります。
今回はペイドメディア・アーンドメディア・オウンドメディアの役割や意味、さらにその特徴やメリットなどをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。近年ではスマートフォンが一般に普及したことにより、一般消費者がインターネットを利用する機会が増えています。企業のメディア戦略においては従来からのペイドメディアの活用はもちろんですが、さらにアーンドメディアやオウンドメディアなどweb広告を含めたインターネットコンテンツの積極な活用が、今後の重要な課題だといえるでしょう。