「オウンドメディア」という言葉を耳にしたり目にする機会が増えてきたな…と感じたり、今さらそれが何であるかを聞けない…とお悩みの方も多いのではないでしょうか。そもそもオウンドメディアとは何なのでしょう?いつから生まれた言葉なのでしょうか?
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インターネットが普及する以前は、広報誌・パンフレット・チラシなどが主たる手法でした。1990年代wwwの試験運用時代にポータルサイトが生まれ始め、2000年代からロボット検索エンジンによる自動登録が可能になってからサイト数は爆発的に増え、インターネットが普及し人々の生活に深く浸透した現在では、企業の宣伝手法の基本として紙媒体からその座を奪い取りました。コーポレートサイトをはじめ、ブログ・SNS(ツイッターやフェイスブックなど)・メールマガジンを活用していない会社はほぼ皆無であると言っても過言ではないでしょう。
オウンドメディア(OwnedMedia)の意味は「Owned:所有する」「Media:メディア・情報媒体」=企業が所有し運営を行う情報媒体…つまり上記にあげた宣伝手法のことです。端的に言えばインターネットの普及と共にオウンドメディアという言葉も出現したということになりますが、それではきちんと理解を深められたとは言いにくいでしょう。
なぜならばオウンドメディアだけが企業の情報発信媒体なのではないからです。オウンドメディアは「トリプルメディア」と呼ばれる情報発信方法の1つにすぎず、「ペイドメディア(PaidMedia)」「アーンドメディア(EarnedMedia)」と合わせてはじめて「トリプルメディア」として成り立ちます。「トリプルメディア(TripleMedia)」は2010年頃に概念の広がりを見せ始めたと言われています。こちらについて詳しく紐解きながら、オウンドメディアとその流行時期について更に理解を深めていきましょう。
前述した通りオウンドメディアとは、ペイドメディア・アーンドメディアと合わせてトリプルメディアと呼ばれる、宣伝媒体のひとつにすぎません。まずは各種法について詳しく見ていきましょう。
・トリプルメディア(TripleMedia)とは、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアをあわせた呼び名で、デジタルマーケティング戦略のひとつです。
・オウンドメディア(OwnedMedia)とは、媒体の形態にかかわらず企業または運営代理会社が管理するメディアそのもののことです。コーポレートサイト・ブログ・SNS(ツイッターやフェイスブックなど)・メールマガジンと、紙媒体(広報誌・パンフレット・チラシなど)がそれに該当します。
・アーンドメディア(EarnedMedia)とは、企業または代理会社と直接的な関わりのない企業が運営する宣伝媒体のことです。個人のブログで紹介されたり、SNS上の個人的なコメントであったりします。または「ここの料理が美味しかったよ」「この観光地に行ったらぜひここに行って記念写真をとるべき!」という情報やコメントを利用者が登録し並べるまとめサイトもそうですし、ニュースサイトもここに含まれます。企業が費用を使うことなく宣伝をしてもらえる反面、間違った情報が流れてしまうこともあります。良い評価だけでなく悪い作り話が広まってしまう場合もあったりと、コントロールができないためリスクも秘めています。
・ペイドメディア(PaidMedia)とは、ウェブサイト広告・SNS広告・検索広告、など、企業が費用を支払い掲載する広告媒体(バナー広告など)のことです。電子のダイレクトメールなども含まれます。
例えばオウンドメディアであるコーポレートサイトやサービスサイトだけがあっても、そこにお客さんがたどり着いてくれなければ意味がありません。そこでペイドメディアを使いユーザーにサービスの存在を知ってもらいます。ユーザーに利用してもらえたら、引き続きサービスを利用し続けてもらうために新商品の入荷やお得なキャンペーンのお知らせをダイレクトメールなどで発信し続け、興味を惹き続ける努力をします。
企業が行うペイドメディアだけでは弱く、やはりアーンドメディアでの情報発信もかかせません。例えば何かを食べに行こうとする時、何かを知りたい時などにまずはインターネットの情報を調べてみる…という経験が、みなさんにもあることと思います。この記事を読んでいることこそがまさにその例ですね。SNSやスマートフォンが生活に深く根ざしている近年では、アーンドメディアの力はそれほどまでに強い影響力を持っているものなのです。
ペイドメディアとアーンドメディアを使いこなし、オウンドメディアへユーザーを誘導ができたら一安心…ということではなくそこからが本番です。ユーザーが求める情報を発信し続け、飽きさせずに満足をしてもらい、信頼し続けてもらうために運用の試行錯誤や維持費用はかかり続けます。しかし信用を得てリピーターとなってもらえたら成果がしっかりと出ます。
ユーザーとの信頼関係こそ、オウンドメディアの最大のメリットであり、その運用負荷が最大のデメリットともいえるでしょう。さらには成果がでるまでに時間がかかるため、その負荷にもちこたえられるだけの力や計画を持っていることも重要になります。またフェイスブックやツイッターといったオウンドメディアでは新しい情報を次々に発信でき、ユーザーも気軽にそれを受け取りやすいメリットがあるぶん、せっかくたどり着いたユーザーが欲する情報がすでに奥へと隠れてしまい、コンバージョンの機会を逃してしまう危険性も常に抱えています。
その答えは、これまでオウンドメディアについて見てきた中で何度か出てきた「SNSやスマートフォンが生活に深く根ざしている」という点が鍵を握っています。スマートフォンが浸透する以前までは、ペイドメディア・PCサイトへのバナー広告などによりユーザーの流入をはかる方法が主流でした。2006〜2010年あたりにスマートフォンが一般に普及・浸透し、誰もが気軽にスマートフォンを使って調べ物をしたりSNSを利用するようになり、その際表示されるバナー広告が鬱陶しく感じてしまい、バナー広告自体を気にしないようにするユーザーの癖がついたことで広告を見てもらえなくなってきました。そうでなくともスマートフォンの設定からそもそも広告を表示しないようにする機能を利用する人も増えたことが要因となり、ペイドメディアによる効果が薄くなってきてしまいました。
そこでオウンドメディアにより自社のサイトで情報を発信することでユーザーに検索などでたどり着いてもらい、興味を持ち続けてもらう手段が有力な手法となってきたのです。日本でのオウンドメディアの意識が定着し始めてきたのは2010年前後といわれています。現在では企業の社員が交代でオウンドメディアの更新を担当したり、外部のフリーライターなどを協力者として知識提供や面白いコラムを載せたりして、ユーザーへ情報を発信し続けることが当たり前となりました。
インターネットとその中のサービス、広告のあり方はまだまだ進化をし続けています。今後もどのような展開をするか、目が離せませんね。