オウンドメディアというのは企業が運営している情報発信などを目的とするメディアのことです。昨今ではオウンドメディアを運営している企業が非常に多く、コンテンツマーケティングにおいてもオウンドメディアは重要な役割を果たしています。そこでオウンドメディアで自社のブランディングを生み出すことに成功した事例について紹介していきます。成功の事例から参考になる情報をいくつも得ることが出来ます。もちろん、企業のジャンルによってオウンドメディアにおける重要なポイントは異なるのですが、別ジャンルであっても参考になる部分があります。ブランディング創造のお手本となるような事例がたくさん存在します。
【ヒットしやすい記事で情報を発信】
商品の紹介だけでなく、記事を充実させることでブランディングに成功したのがストレッチポールです。ストレッチポールというのはその名前の通り、効率的にストレッチするためのポールなのですが、日本ではそれまでポールを使ってストレッチをする文化があまりなかったのでなかなか公式サイトへのアクセスが伸びないという問題がありました。
そこでストレッチポールでは公式ブログ内で「体幹トレーニング」「腰痛ストレッチ」といった製品に関係するワードを含む記事を多数追加しました。これにより、ダイエットを目的として情報収集している方が多くストレッチポールの公式ブログへとアクセスするようになっています。
最初はポールを知らずにダイエット目的で検索した方もストレッチポールに興味を持つようになり、購入を希望する方が増えました。ストレッチポールの公式ブログでは記事を読んで興味を持った方のために別ドメインのECサイトへと誘導する仕組みになっています。公開から4か月で20万PVというヒットに繋がり、月間販売数も大幅に増えたとのことです。扱っている商品の名前だけでなく、使用目的などから検索できるように記事を充実させたことがブランディングへと繋がりました。
記事の内容自体も広告じみたものではなく、あくまでダイエットや体幹トレーニングに役立つものが多かったため、たくさんの方に読んでもらうことが出来たと考えられます。商品の知名度を上げるために有効な手法です。
【自社の強みを生かして情報を発信】
「BBQGO!」という日本ハムが運営している国内最大級のバーベキュー情報サイトはブランディングに成功し、大幅に訪問者数を増加させています。
日本ハムは言わずと知れた食品メーカーですが、このオウンドメディアを展開するにあたってどの分野に強みを発揮すればいいかと模索し、BBQを専門として扱っている情報サイトは少ないことを発見しました。そこで日本全国のBBQをテーマにオウンドメディアを運営開始し、スーパーなどの売り場などを活用して一気に知名度を向上させています。このブランディングのポイントは手薄となっている分野を見つけて、そこに自社の強みを生かしたことです。
食品についての情報サイトやアプリはたくさん存在し、既に定番となっているメディアもあります。しかし、「BBQGO!」が登場するまではBBQを専門的に取り扱っているメディアはあまりありませんでした。そこで、日本ハムは肉類という自社の強みを生かして、BBQの情報を発信するサイトを一気に展開し、オンラインだけでなくオフラインの要素も取り入れることで訪問者数800万人を突破するほどになりました。
オウンドメディアでありながらオンラインだけの展開にこだわらなかったことが成功のポイントにもなっています。また、BBQの情報を発信しているサイトが少ないということを発見したのは冷静に調査していた成果といえるでしょう。このように入念な調査はブランディングには欠かせません。
【あえて情報を惜しみなく公開することでブランディング成功】
オウンドメディアでは情報の公開を絞り、サービス利用者のみに公開するというケースが多い中で思い切った情報公開を行ったのがソウルドアウト株式会社が運営しているWebマーケティングノウハウメディアのLISIKULです。
このメディアではリスティング広告運用会社が持っているノウハウをあえて公開しています。ノウハウは内に隠すのではなく、公開することでメディアを閲覧するメリットを大幅に高めました。これにより問い合わせを大幅に増加させています。LISIKULでは中小企業向けのマーケティングノウハウ記事を大量に所有していました。一般的にはノウハウは財産なので、無料で公開する会社はほとんどありません。しかし、LISIKULは新規の顧客を獲得するために惜しみなくノウハウを公開しました。これにより、LISIKULが多大な情報を持つメディアであることを中小企業が認識し、次から次へと顧客となっています。それだけでなくリスティング広告のようにキーワードが検索上位に表示されるようなSEOを実現し、企業向けの広告メニューを設定しました。このように情報を惜しみなく発信することに加えて、利便性を高めることを組み合わせることで大きな効果を生み出しました。この一連の戦略により、LISIKULはマーケティングノウハウを数多く持っている優秀なメディアというブランディングに成功しています。
【商品だけでなく世界観を発信して人気に】
「北欧、暮らしの道具店」は北欧の家具を販売している企業であり、商品の情報を発信するオウンドメディアを運営しています。日本でも北欧の家具という物は珍しくありませんが、実際に家においたときのイメージがわきにくいという方もおられるのではないでしょうか。そこでこのオウンドメディアでは単に家具だけを紹介するのではなく、北欧スタイルの部屋を用意して世界観自体を発信することに力を入れました。これが北欧の世界観にあこがれを抱く方にスマッシュヒットし、月間PVは1,300を記録するなどどんどん注目度を高めています。実はこのオウンドメディアで公開されている記事は社内をメインとして作成されており、一般的な日本の住宅でも北欧の世界観を十分に出せることを証明しています。加えて「BRANDNOTE」という広告メニューを提供することで商品を紹介出来る幅を広げました。家具というものは単独で成立するのではなく、家の雰囲気や他の家具との組み合わせでイメージがついていきます。このオウンドメディアでは世界観という形で部屋のイメージをわきやすくしたのがポイントです。もちろん、世界観を出した記事を生み出すにはたくさんの費用がかかりますが、そのことを考慮して最初から投資を行っています。世界観の発信に成功した今となっては初期投資の何倍もの利益を生み出すことが出来ていると考えられます。かけるべきところにお金をかけるのもブランディングにおいては大切なことです。
オウンドメディアの工夫1つでブランディングを成功させることは可能です。成功している事例の多くはすぐに商品を売りたいという事情を前面に出すのではなく、利用者を楽しませたり、利用者に興味を持たせたりすることに力を入れています。また、きめ細かい調査によって自社の強みを生かせる分野を探しているのも大きな特徴です。成功事例を見ているとまるで簡単にヒットさせているようにも見えますが、そこには努力や裏付けとなるデータがあります。利用者の目線で利用したいサイトとはどういったものかを考慮するとブランディングの成功に繋がりやすくなります。