ふと出てきたとある商品の広告。その商品の説明を見ているうちに、いつの間にかそれが欲しくなっていた、あるいは実際に購入した経験がある人も少なくないのではないでしょうか。実は、その広告には“コピーライティング”という技術が使われていて、そこにはユーザーを惹きつける心理学が隠されているのです。
Contents
1.コピーライティングと心理学
コピーライティングは広告を書くスキルです。このコピーライティングは読み手の気持ちを理解し、読み手が望むものを提供し、ユーザーの欲望を満たし満足させることが目的となります。すなわち、ユーザー自身が気づいていない潜在的なニーズに働きかけているのです。書き手が作成する相手の感情を理解した文章は心を動かすことができるのです。では、なぜ相手の感情を理解した文章が作成できるのか。
→ここで“心理学”の存在に注目するのです。
2.ユーザーの潜在ニーズを先回り
企業はユーザビリティを第一に考え、コンテンツの細部までにこだわり構成を考えています。これらはできるだけ多くの人の目に留まり、多くの人の役に立つべきです。そもそもユーザーがその記事ページにたどり着いたのは、記事に書かれたことに対して悩みや問題を抱えていて検索したからです。せっかくユーザーがその記事ページにたどり着いてくれたからには、「あ、これが知りたかったんだよね」の要求にピッタリ応えたいものです。
ユーザーが「これこそ知りたかったものだ」と認識するために、企業側は作成時から自分のwebページにたどり着くだろうユーザーの感情を先読みしてライティングしていくことが重要です。つまり、“あなたの悩みを解決できますよ”というニュアンスを、言葉以外の方法で伝える必要があるのです。“この記事を読んでください。役に立ちます。”とストレートに書かれている記事は、本当に役に立つものだったとしても何となく押しつけられているように感じてしまいますよね。
3.表現の仕方が生むニュアンスの違い
“言葉以外でニュアンスを伝える“と言われても、なんだか難しいことのように感じますよね。ですが、ただ“表現の仕方を工夫する”だけで文字に起こさなくてもニュアンスをくみ取ってもらうことは可能になるのです。例えば次の表現を見てください。
・あなたの財産が狙われ続けています
・防犯サービスがあれば安心できます
上の二つは同じことを言っています。もしあなたが財産管理に不安を感じて、この内容を検索したとき読もうと思うのはどちらの記事でしょうか。おそらく下の文章を読みたいと思ったことでしょう。書き手がユーザーの財産が狙われている〈現状〉を解決するために〈防犯サービス〉を探しているというニーズをあらかじめくみ取って作成された記事だからこそ下の文章はあなたの心に強く働きかけるのです。
4.マーケティングと心理学
つまり、マーケティングには“心理学”という非常に科学的なアプローチが求められているのです。心理学はとても幅広い分野であり、すべてを網羅するのはほぼ不可能です。そこでマーケティングの上で重要になる行動心理学、認知心理学、社会心理学を中心にユーザーを惹きつける心理学を見ていきましょう。
5.マーケティングにおいて重要な10の心理学
ここでは心理学が働く以下10個の効果を見ていくことにします。
- カクテルパーティ効果【読み手の注意を引く】
- カリギュラ効果【禁止させることであえて読ませる】
- 滑り台効果【続きをついつい読ませる】
- ウィンザー効果【第三者の声で信頼アップ】
- 権威【無条件に信用させる】
- バンドワゴン効果【多数派の力で信じさせる】
- 両面提示の法則【デメリットも提示して信じさせる】
- アンカリング効果・コントラスト効果
- フレーミング【別の表現で安く感じさせる】
- インボルブメント【疑似体験させて欲しくさせる】
- カチッサー効果【理由を伝えて行動を促す】
- 希少性(限定性)【今行動しないと手に入らないと思わせる】
①カクテルパーティ効果【読み手の注意を引く】
カクテルパーティ効果とは、たとえ周囲が騒がしくても、自分に関係するものや必要なものであれば聞き取れたり、反応できたりする現象のことを指します。
手を具体的にイメージして、「〇〇なあなたへ」という表現を使うと有効です。
②カリギュラ効果【禁止させることであえて読ませる】
カリギュラ効果とは、禁止されるほど気になってやってみたくなる心理現象のことを指します。もったいぶっているように感じない程度に活用しましょう。
③滑り台効果【続きをついつい読ませる】
滑り台効果とは、文章を読んだ後に、次の文章もつい気になって読んでしまう現象のことを言います。「そして」「しかし」といった接続詞を使ったり、「実は、〇〇です」のように続きが気になるインパクトのあるフレーズを使ったりすることも効果的です。
④ウィンザー効果【第三者の声で信頼アップ】
第三者の声(お客様の声やレビュー)によって信ぴょう性や信頼性が増すという心理効果です。
⑤権威【無条件に信用させる】
人は権威や肩書に弱く、医者や教授とみると信じやすくなる傾向にあります。
YMYLにはその分野の専門家の意見を積極的に取り入れるべきです。
⑥バンドワゴン効果【多数派の力で信じさせる】
バンドワゴン効果とは、「多くの人に支持されている」という理由でさらに支持が集まっていく効果のことを指します。みんなが持っているものは欲しくなり、流行もこの一因です。⑦両面提示の法則【デメリットも提示して信じさせる】
両面定時の法則とは、メリットもデメリットも伝えることで、信ぴょう性や信頼性が高まる効果のことです。クレームを回避にもつながります。
⑧アンカリング効果・コントラスト効果
ここでいうアンカリング効果とは、最初に提示された金額が、商品を買う際の判断基準に影響を及ぼすことを指します。先に高い価格を、その後に本来の安い価格を提示し安いと思わせることを「コントラスト効果」と言います。
⑨フレーミング【別の表現で安く感じさせる】
フレーミングとは、同じ物事でも伝え方によって受け取る印象がガラッと変わる効果のことを指します。1日当たりの金額に換算してみるなどが代表的です。
⑩インボルブメント【疑似体験させて欲しくさせる】
商品購入後の状態を疑似体験させることで、その商品を欲しくさせる効果を指します。
ネットの広告で商品を売る場合の一例としては、WEBページからカウンセリングの予約などをして、すでに商品を購入した前提で話を進める方法があります。
⑪カチッサー効果【理由を伝えて行動を促す】
カチッサー効果とは、人はある行動を取る理由を説明されるととくに深く考えることなく行動してしまう現象を利用した効果のことを指します。
⑫希少性(限定性)【今行動しないと手に入らないと思わせる】
希少性や限定性をアピールすることで、人を行動させることが出来ます。
6.まとめ:ユーザーのための心理学
あくまでユーザーに寄り添うために活用するという目的を見失わなければ、これらの心理学はより大きな効果を発揮することになるでしょう。
企業はユーザーに120%の満足を届けることを目標に記事を構成するという大前提を見失わないようにしなければなりません。企業側が作成した記事を読むのは、他でもないユーザー自身です。「この記事に出会えてよかったな」とユーザーの信頼を獲得していくと会社イメージは自然と上昇していき、最終的には副産物的な形で利益に結びついていくことになります。まず企業側は有益な情報を与えて与えて与えること。それによって、ユーザーからの信頼や評判といったお金では買うことができないものを得ることができます。この“与える”前に、ユーザーの興味を惹きつける点において、心理学を活用することは有効です。
ユーザーのためにユーザーを惹きつけ、惜しみなく情報を与える姿勢を貫きましょう。