コンテンツマーケティングは比較的新しいマーケティングの方法であるため、毎年のようにその内容は進化しています。人々が興味を持つコンテンツを用意することがこの手法を成功させる第一の条件です。つまり、年月とともに変化する消費者の興味を上手く惹きつけていくことが重要となります。最新のコンテンツマーケティングを知ることは今後のトレンドを予想することにもつながります。そこで最新のコンテンツマーケティングについて紹介していきます。そこにはたくさん参考になる内容が含まれています。また、純粋にアイデアとして面白いものが多いのも特徴です。
【アスリートをリスペクトする方々に向けたコンテンツ】
あるアスリートブランドでは非常に斬新なデジタルマガジンを配信しています。それは自分のアスリートとしての心理状態を職場にて最大限に活用できるかという内容になっています。つまり、自分をアスリートと見立てて、アスリートの精神で仕事に取り組んでいくというものです。一般的なアスリートは競技と生活のバランスを整えながら活動を続けています。それを見習ってフィットネスを重視したワークライフバランスに関係する内容を配信するのが、このコンテンツマーケティングです。
スポーツをかなり本格的に行っている方の中にはアスリートへのリスペクトから、彼らや彼女らと同じようなマインドで生活したいと思っている方もいます。そういった方にはまさにうってつけのコンテンツといえるでしょう。
「何故わざわざアスリートのような過酷な環境で仕事に取り組んでいくのか」と思われる方もおられるかもしれませんが、アスリートの精神で仕事に取り組むことには仕事のパフォーマンスを上げたり、健康状態を改善したりする効果があるとされています。アスリートブランドの従業員の方々はフィットネスに関係する豆知識などを持っていることもあって、その内容も配信に含められます。実際にアスリートになっているのはごく限られた人だけですが、このコンテンツを購読すれば誰でもアスリートになったような気分で過ごすことが出来ます。昨今では健康志向も高まっており、その需要を見事にとらえたコンテンツマーケティングといえるでしょう。
【映画の住まいを表現するコンテンツ】
最新のコンテンツマーケティングの中でもひときわユニークさを発揮しているのが、ある不動産会社が公開した「映画と住まい」というページです。これは誰もが見たことのあるような有名な映画から、その舞台となった住まいの環境などを連載で紹介していくという内容になっています。映画を見たことがないという場合でも連載内であらすじを紹介してくれているので安心です。
知っている映画の舞台が紹介されたときには何とも言えない感慨があります。間取りの再現度が高く、映画に出てくるような家に住んでみたいという方には特におすすめのコンテンツです。
また、ドラえもんの住んでいる野比家の間取りが紹介されたこともありました。このコンテンツマーケティングにおいては不動産会社であることを存分に生かしつつ、非常に知名度の高い映画を取り扱うことで関心を強く引くことが出来ます。また、ただ家を紹介するだけでなくライフスタイルを想起させるコンテンツ戦略が組みこまれており、見ているだけでも面白いと評判になっています。住宅の宣伝を含んでいないわけではありませんが、どこか楽しさを重視しているような印象を受けます。
ユーザーは様々なところで広告を見ているので広告色の強いコンテンツは嫌厭されることがあります。この不動産会社が行っているコンテンツマーケティングはコンテンツとしての面白さも追及されているので特に多くの方の好感を得ることが出来ました。次の連載が楽しみという方も多くなっています。
【「方法」を公開することに力を入れたコンテンツ】
スキンケア用品や洗剤を取り扱っているメーカーではその製品の有効な使い方を知らせるコンテンツマーケティングを行っていることが多いのですが、最近では徐々に変化が見られます。最新のコンテンツマーケティングの1つとなっているのが「方法」に特化した情報公開です。
例えばお風呂のカビ予防の方法や石鹸による除菌の方法、換気扇の汚れの取り方などどうやったら出来るかについて記載されています。これまでと異なっているポイントは自社の製品があまり出てこないことです。
これまではカビの落とし方を解説する際にその会社の製品が登場し、役に立つことのアピールがされていました。しかし、最新のコンテンツマーケティングではカビを落とす方法など、方法にフォーカスが絞られており製品の話はあまり出てきません。自社の製品をアピールしなくて良いのかと思われる方もおられるかもしれませんが、実はこれが新しい戦略です。カビの落とし方などを説明する際に過剰に自社の製品を登場させると、これは宣伝のために用意されたコンテンツだと思われてしまいます。
製品のアピールのために用意されたものだとみなされると最後まで読んでもらえる可能性が下がることもあります。そこで最新のコンテンツマーケティングでは自社の製品のアピールは少しだけにして、あくまで有用な情報を提供することに力点が置かれています。これにより、純粋に情報を目的としてアクセスした方の好感を得やすくなります。コンテンツを閲覧してもらう中で徐々に製品に興味を持ってもらえれば良いというスタンスです。
【世界観を丸ごと伝えるコンテンツ】
最新のコンテンツマーケティングにおいて増えているのが世界観を丸ごと伝えるというものです。例えば雑貨メーカーであれば雑貨の性能や使い道などを紹介するのがかつては一般的でした。もちろん、そういったページは現在においても存在しますが、最新のコンテンツマーケティングではそこからさらに踏み込んでいます。
例えばアピールしたい製品があってもそれをメインとするのではなく、「山との暮らし」や「南国での生活」などといった広いテーマの中にぽつんと置いておくだけです。あくまでこのコンテンツで伝えたいのはそれぞれの世界観であり、個々の雑貨ではないという形を取ります。これは雑貨メーカーだからこその視点でもあります。一般的には雑貨というものが生活の中心になっているという方は少なく、生活の中に雑貨が溶け込んでいるという方がほとんどであると考えられます。
そこで雑貨メーカーでは閲覧している方にその世界観を伝えるコンテンツを作りました。雑貨はごく自然にその中に溶け込んでいます。ユーザーとしては世界観を見て楽しむことが出来、雑貨に興味を抱くこともあります。過剰にアピールしないことが逆に印象に残りやすくなるのかもしれません。これは雑貨ならではのことといえるでしょう。生活の中の雑貨、というようにリアリティを追求したコンテンツマーケティングは最新のトレンドでもあります。リアリティがあると自らの生活と重ねてイメージしやすいので訴求力も結果的に高まるとされています。
最新のコンテンツマーケティングはいずれもユニークなものとなっており、見ているだけで楽しくなるものばかりです。昨今ではそこらじゅうのサイトに広告が貼られていることから、広告に辟易している方もおられます。コンテンツから広告色がますます薄くなっていることはその表れでもあります。広告色の薄いコンテンツが人々の関心を捉えて、広告以上の効果を持つというケースも多くなっています。これから先もコンテンツマーケティングは変容していくと思われますが、見ていて楽しいものがヒットするというのは今後も変わらないことでしょう。